ダリの秘伝 |
これが前回書いた、時計のオブジェ。
7時5分前だ。
『ダリ・私の50の秘伝』 より 「画家を志す者のための十の掟」
1.画家は、貧乏であるよりは裕福であるほうがいい。
したがって、君の筆からいかに黄金と宝石を生み出すかを学びたまえ。
2.完璧を恐れるな。君は絶対到達できはしないのだから!
3.昔の巨匠のように素描と彩色を学ぶことから始めたまえ。
そのあとでなら好きなように描くがいい。誰もが君を尊敬するだろう。
4.眼も、手も、脳も粗末に扱うな。画家になったとき、必要になるからだ。
5.君が、現代アートはフェルメールやラファエロを超えたと考える輩なら、
本書を読むことはない。そのおめでたい愚かさに安住し続けるがいい。
6.自分の絵に罵詈雑言を吐くような真似をしてはいけない。
でないと君が死んだとき、絵のほうが君を罵倒するだろうから。
7.怠惰のなかに傑作は生まれない!
8.画家よ、ただ絵を描きたまえ!
9.画家よ、アルコールは慎みたまえ。大麻は一生に5回までしか噛んではいけない。
10.君の絵が君を愛さなければ、君の絵に対する愛は何の効果ももたらさない。
(『ダリ・私の50の秘伝』サルヴァドール・ダリ 音土知花訳)
いつ頃だったろうか。
テレビでダリの特集番組を見た。かなり以前のことだ。
当時の私には、ダリとガラの不思議な関係や、奇矯な振る舞いが理解できず
どこま本気で受け取ってよいのか、戸惑ったのを覚えている。
けれどこの「十の掟」はとても印象に残って、ノートに書き留めた。
番組の中では、フランスの大女優ジャンヌ・モローが10項目を朗読していた。
何と言っても8項目目の「画家よ、だた絵を描きたまえ!」という言葉に
奮い立った覚えがある。
"Peintre, peins!"
ジャンヌ・モローの毅然とした姿と、このシンプルな2音節が潔く爽快に響いた。
そう、とにかく書くこと!書くこと書くこと、書くこと。
私は書くことが好きなのだから。
そして「怠惰のなかに傑作は生まれない!」